たなか成長クリニックは、低身長を中心とした小児内分泌疾患を扱う専門性の高いクリニックです。

ご予約・お問い合わせ03-3708-3939

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小槌
成長曲線の実際(No.4)

肥満が伴った成長率の低下は要注意! (その2)


 
8歳のD君は、最近の成長率が悪いことを主訴に外来を訪れました。
 
来院時の身長124.0cm (-2.00SD)、体重38kg(満度 +78%)で、低身長と高度の肥満が認められました。成長曲線を描いてみると、生まれたときはほぼ標準の体格で、その後も5歳まではほぼ平均身長・体重に沿って成長していましたが、5歳以後成長率が急激に低下しました。
 
しかし、体重は急激に増え続けていました(1)。肥満度曲線を描いてみると、5歳以降急激に肥満度が増加していることが判ります(2)66ヶ月過ぎより顔にニキビがではじめ、下腿や前腕の多毛傾向が見られはじめました。

診察所見では、満月様顔貌が認められ、ニキビが著明でした。中心性肥満で、肩の後ろが盛り上がり、いわゆる水牛様肩を示していました。精巣容量は3mlで、骨年齢は6歳と遅れていました。

*日本学校保健会が販売しているソフトで、 成長曲線 肥満度 曲線を作成しています。

 

入院精査の結果、成長ホルモンの分泌は正常で、甲状腺ホルモンにも異常がありませんでした。
 
しかし、副腎皮質ホルモン  ( コルチゾール ) は、 通常朝が高く夕方以降低くなるという日内変動が認められず、 1 日中高値を示しており、  クッシング症候群(図3) が疑われました。
クッシング症候群は、副腎の腫瘍によりコルチゾール分泌が多くなる病気です。
 
その時は、副腎から分泌される副腎皮質刺激ホルモン (ACTH)  は、コルチゾールが高いことでフィードバック機構が働いて低値になるのですが ( 3) ACTH も高値のまま推移していました。
 
腹部の CT では副腎には腫瘍がなく、頭部の MRI で下垂体右下縁に 2 3mm の低濃度領域が認められ、下垂体の ACTH 産生腫瘍によるクッシング病 ( 3) と診断されました。経蝶骨洞手術により腫瘍の摘出が行われました。
 
副腎皮質ホルモンが過剰に分泌されると、食欲が亢進して体重が増加し、同時に副腎皮質ホルモンは成長を抑制するため、肥満が急激に進行し、低身長になっていくのです。満月様顔貌や多毛傾向も、特徴的な症状です。副腎腫瘍によるクッシング症候群も、同様の症状を示します。

肥満を伴った成長率の低下は、腫瘍による病気によることもあるので、要注意です。

低身長は、同性・同年齢(月も)の子の多数のデータから統計的に定義されていて、背の小さい順に100人並べたときに、前から2人ぐらいが「低身長」という定義に当てはまります。

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