成長曲線の実際(No.2)
小柄な子どもの成長率の低下は、成長ホルモン分泌不全の可能性がある
B君は、在胎週数38週、出生体重3020g、出生身長 48.2cmと正常に生まれましたが、離乳食がなかなか進みませんでした。その後も少食で、2歳の頃には身長が10パーセンタイル近くまで小柄になり、4歳頃までは小柄のまま成長曲線に平行に成長していました(図1*)。
しかし、4歳頃から急に食欲がでて身長も体重もどんどん増えていって、両親は喜んでいましたが、6歳頃よりうっすら陰毛が見られるようになり、7歳頃には体毛も濃くなってきたので、心配になって病院に連れて来ました。
来院時身長128.9cm(+1.8SD)、体重42.1kg(肥満度+55.4%)と身長が高いだけでなく、高度の肥満が認められました。
外性器は、精巣容量は20mlとすでに成人並みで、陰茎の大きさも、陰毛の生え具合も思春期半ばから後半の状態でした。全身、特に四肢に多毛傾向が見られました。
骨年齢は、既に13歳と著明に促進していました。血液検査で性腺刺激ホルモンが思春期半ばの値で、男性ホルモンはすでに成人レベルでした。
診断は 「中枢性思春期早発症」。男子の思春期早発症は、何らかの原因があることが多く、B君も精査の結果、脳腫瘍が見つかりました。化学療法により脳腫瘍は寛解状態になり、思春期の性ホルモンを押さえる治療が始まりました。
※日本学校保健会で販売しているソフトで成長曲線を作成しています。
図2 は、いつ頃、どのように子どもの身長の程度が変化するかを表しています。
真ん中の
±0.5SD
の黄色の部分が、身長の程度が変わらない子どもの割合を示しています。
生まれてから
3
歳ぐらいまでの乳幼児期は、主に栄養依存性の成長の時期で、約
3
分の
1
は身長の程度は変化しませんが、約
3
分の
1
は
0.5SD
以上身長の程度が高くなり、約
3
分の
1
は、
0.5SD
以上身長の程度が低くなります。
小児期で、
1
番身長の程度が変化する時期です。次の
3
歳から
6
歳は、
3
歳頃から思春期が来るまでの前思春期と考えていただいた方が良いのですが、あまり身 長の程度が変化しない時期です。
約
20%
が
0.5SD
以上身 長の程度が高くなり、約
15%
は、
0.5SD
以上身長の程度が低くなっていますが、残りの約
3
分の
2
は身長の程度が変わりません。ということは、成長曲線に平行に成長していくということです。従って、この時期に身長の程度が変化するときには、要注意です。
6
歳から
18
歳は、思春期の間の変化と考えてください。思春期には、それぞれ約
4
分の
1
の子どもが身長の程度が高くなるか、あるいは低くなり、約半分の子どもの身長の程度は変化しません。どのような子が高くなり、どのような子が低くなるのかは、別の機会にお話しします。
3歳頃から女の子は 7 歳まで、男の子は 9 歳までの間に、子どもの身長が急に伸びてきたら、喜んではいられません。思春期早発症という病気の可能性もあります。
3歳頃から女の子は 7 歳まで、男の子は 9 歳までの間に、子どもの身長が急に伸びてきたら、喜んではいられません。思春期早発症という病気の可能性もあります。
低身長は、同性・同年齢(月も)の子の多数のデータから統計的に定義されていて、背の小さい順に100人並べたときに、前から2人ぐらいが「低身長」という定義に当てはまります。
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